第6章 黄金のグリフィン
「マルフォイったら、さっきので懲りたと思ったのに」
チユが呟くと、ロンは肩をすくめて呆れたように言った。「マルフォイって、本当に父さんが言ってた通りだよ…」
「知り合いなの?」
ハリーが興味深そうに尋ねると、ロンは軽く頷きながら答えた。
「うん、まあ顔は知らなかったけど、名前は聞いたことあるよ。僕の父さんがね、あの家族に随分と悩まされてるんだ。」
ロンの父親は魔法省で働いていると、前に言っていた。
「それに、あの家は『例のあの人』側についてた一家らしいよ。」
「ヴォルデモートに従ってたって事は悪い家って事だよね?よくホグワーツに入学が出来たね」
ハリーが無意識に言葉を漏らした瞬間、ロンは驚きでボートを傾け、そのまま横転しそうになるほど驚いた。
チユもロンまでとはいかないが、驚きのあまり目を見開いた。
チユですら勿論『例のあの人』の事はよく知っている。その名を口にしてはいけない事も。
「ハリー、今、名前を――!?」
「ご、ごめん!」
ハリーは慌てて口をつぐんだが、ロンとチユの顔を見て少し冷や汗をかく。
「まあ、とにかくあいつの家は最悪だよ。」ロンが冷静さを取り戻しながら続けた。「父さんによれば、ヴォルデモートに服従させられて、操られたんだって言ってたけど、そんな言い訳は出まかせだってさ」
ロンの話を聞いていると、マルフォイが純血主義で家柄を非常に重んじていることがよくわかった。
そう考えると、孤児で家柄も血筋もわからないチユは、彼にとってはきっと忌み嫌われる存在なのだろうと感じた。