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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第6章 黄金のグリフィン



ハグリッドはハリーと再会の挨拶を交わすと、すぐに生徒たちを見渡し、大きな声で叫んだ。


「さあこっちだ!足元に気をつけろ!いいか!」


その声に応じて、新入生たちはハグリッドの後ろに続き、歩き始めた。彼の持つオレンジ色のランプが、暗い山道の中では頼りになる目印となっていた。しかし、その道は生い茂る木々に囲まれ、足元が悪く、暗くて非常に危険だった。


「うわぁ…!」


突然、ロンが足を滑らせて転んだ。ハリーが急いで手を差し伸べ、ロンを助け起こす。


「大丈夫?ロン?」

「うん…でもこんなに暗いんじゃ、歩くのが大変だ。チユも気を付けて」


確かに、この暗い道で進むのは非常に危険だ。
チユは杖を取り出し、呪文を唱えた。

「ルーモス」

杖先に明かりが灯ると、周囲が少しだけ明るくなり、歩きやすくなった。


「ありがとう、君…ホグワーツで習う事なんて何もないんじゃないの?」

「うん、私もそう思う」わざとらしく髪をなびかせて、冗談ぽく答えるとハリーが「フッ」と吹き出した。


「ここを曲がれば、もうすぐホグワーツが見えてくるぞ!」


道を曲がると、目の前に大きな湖が広がっていた。その向こう岸に、壮大なホグワーツ城が堂々と建っているのが見えた。城の明かりが湖に反射し、幻想的な光景が広がっていた。

ホグワーツ城は、誰もがつい見惚れてしまうほど美しく、どこか神秘的で荘厳な雰囲気が漂っていた。


「ここからはボートに乗るぞ、みんな乗り込めー!」


ハグリッドの声に促され、チユ達は急いでボートに乗り込んだ。


「よーし、出発だ!」


ハグリッドの声を合図に、ボートは静かな湖を進み始めた。空には無数の星々が輝き、夜空を照らしている。冷たい風が吹き抜け、チユは寒さを感じて身を縮めた。思わずローブの前をぎゅっと握りしめる。

新入生たちは、緊張のあまり誰一人として口を開かない。
全員が無言で、心の中でホグワーツでの未来に思いを馳せているのだろう。

その時、ふと視線を感じた。チユが横を向くと、遠くの方にマルフォイがこちらを睨みつけていた。

冷徹で高慢な表情を浮かべて、何かを思っている様子だ。チユはその視線に少し不快感を覚えたが、すぐに目をそらした。


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