第6章 黄金のグリフィン
そして、再びコンパートメントの扉が開き、またもやハーマイオニー・グレンジャーが姿を現した。
「また君か…」
ハリーが顔をしかめて、ため息交じりに言った。
ハーマイオニーはそんな反応にも動じず、口元にわずかな笑みを浮かべながら、冷静に言った。
「ものすごい騒ぎ声がしたから様子を見に来ただけよ。学校に着く前から問題を起こさないで頂戴ね。」
疲れきっていた3人は、もう言葉を返す気力もなく、ただ黙っていた。
ハーマイオニーはその様子を見て、少しばかり不満そうに肩をすくめ、さらに言葉を続けた。
「もうすぐ学校に着くんだから、そろそろ着替えた方がいいわよ。」
そして、何も言わずにコンパートメントを出て行った。
それからしばらくして、交代で着替えを済ませた3人は、生徒たちの群れに揉まれながらも、なんとか汽車を降りることができた。
駅に降り立つと、外はすっかり暗くなっており、あたりは夜の静けさに包まれていた。周囲には、同じように初めてホグワーツに来たばかりの生徒たちが、興奮や不安の入り混じった表情を浮かべていた。
やがて、遠くから大きな声が響き渡る。
「おーい、イッチ年生!イッチ年生はこっちに集まれ~!!」
声の主は、オレンジ色のランプを手にしたけむくじゃらの大男だった。その身長は2メートルを超え、太い腕や足が丸太のように太く、長い髪にモジャモジャの荒々しい髯で顔がほとんど見えない。
「イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!お、ハリー、元気か?」
「あ、ハグリッドだ!ロン、チユ。彼がハグリッドだよ。」
ハリーが嬉しそうにその声に反応し、すぐに駆け寄った。
チユはその見た目に少し驚き、心の中で少し怯んだ。
自分を迎えに来たのがハグリッドじゃなくて良かった、なんて最低な事を考えた。
しかし、ハリーが親しげにハグリッドと話しているのを見て、すぐにその緊張が解け、そんな事を考えてしまった事に申し訳なくなり、心の中で少し反省した。