• テキストサイズ

ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第5章 ホグワーツ特急での出会い



「もう少し礼儀を心得ないと、君の両親と同じ道を辿ることになるぞ。ウィーズリー家やハグリッドみたいな下等な連中と一緒にいると、君も同類になるだろうよ」


その瞬間、ロンの顔がみるみると険しく変わった。全身がピンと張り詰め、怒りを堪えるように息をのんだ。
「もう一度言ってみろ」
低く、冷徹な声が響く。普段のロンからは想像できないような、鋭い声だった。

マルフォイはそれに反応してニヤリと笑った。「へぇ、僕たちとやるつもりかい?」


その挑発に、ハリーは即座に立ち上がる「今すぐ立ち去らないならね」


ロンも一歩踏み出し、マルフォイを睨みつける。
険悪な雰囲気に、部屋の空気が一気に重くなる。


「立ち去る気分じゃないな。君たちもそうだろう?」とマルフォイが挑戦的に言う。それを合図にクラップとゴイルが拳を振り上げた。


「2人とも危ない!」
チユは自分の杖を取り出して、冷静に呪文を唱えた「フリペンド!」

すると、彼等の体は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。


「これ以上怪我したくなければ、今すぐここを立ち去ることだね」チユが冷ややかな声で言い放つ。

マルフォイたちは震え上がり、悲鳴を上げながら逃げていった。


ロンとハリーは顔を見合わせ、しばらく沈黙した後、クスっと笑った。


「ありがとう、チユ!」

ハリーが感謝の言葉を述べると、ロンも続けて言った。「それにしてもチユ、すごいよ!もう魔法が使えるんだ!」

チユは少し照れくさくなり、顔を赤くして「まぁ…」と愛想のない返事をした。

ロンがさらに質問を投げかけた。「ハリー、あのマルフォイってやつのこと、知ってたの?」


どうやら、制服を作った『マダムマルキンの洋装店』で会ったのが最初らしい。
彼は、マグル生まれの魔法使いをホグワーツに入学させるのはおかしいと話したり、ハグリッドを学校の召使い呼ばわりしたり……ハリーはそのときからマルフォイのことが気に入らなかったのだそうだ。


ハリーの顔には不快感がにじんでいた。その言葉を思い出すたび、彼の中でマルフォイに対する嫌悪が深まっていったのだろう。チユはその気持ちを察し、無言で頷いた。

3人で無言のまましばらく座っていたが、チユはふと窓の外を見つめながら、心の中でこう思った。


「あんな奴らとは、絶対に関わりたくない」

/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp