第5章 ホグワーツ特急での出会い
「父さんが言ってたよ。ウィーズリー家はみんな赤毛で、育てきれないほどたくさん子どもがいるってね。君は?」
マルフォイが、今度はチユに目線を向けた。
自分を温かく迎えてくれたウィーズリー家を馬鹿にされたことに、チユは腹を立て、顔をそむけて彼の質問を無視をした。どうやら彼はそれを何か勘違いしたようで、「シャイなんだね」と得意げに言った。
「そのうち、家柄の良い魔法族とそうでない魔法族の違いがわかってくるよ。そういったことは、僕が教えてあげよう」
そう言って、マルフォイは彼女達に手を差し出し、握手を求めてきた。
ハリーはその手をしばらくじっと見つめ、顔を上げると、冷たく言い放った。
「間違ったのかどうかを見分けるのは、自分でもできるよ。ねぇ、チユ?」
ハリーの言葉にチユは即座に頷き、力強く同意した。彼の言う通りだ。こんな少年に、何かを教わる気にはならない。
ハリーやロンと一緒にいるほうが、ずっと楽しいに決まっている。
それにロンは初めて出来た大切な友人だ。
マルフォイはその反応に不愉快そうに眉をひそめたが、ハリーの冷徹な言葉には逆らえず、何も言えずに立ち尽くした。