• テキストサイズ

ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第5章 ホグワーツ特急での出会い



その後、ハリーは自分の話をしてくれた。


「ハグリッドが教えてくれるまで、自分が魔法使いだってことも知らなくて。きっと、僕、クラスで1番ビリだよ…」


ハグリッドとはハリーに入学の案内を届け、教材の買い出しを手伝ってくれたという大男らしい。


「マグル出身の子たちも沢山いるんだ、大丈夫だよ、ハリー」

「そうだよ、私だって学ばなきゃいけないこと、沢山あるもの」


チユはリーマスにこの数ヶ月間、勉強だけでなく、生活や一般常識をたくさん教わった。それでも、まだまだ世間知らずな自分に気づくことが多い。


「チユの家族は?兄弟はいるの?」


ハリーがそんな質問を投げかけると、チユは少し言葉を詰まらせた。


「……いいや、私は孤児院出身だから。でも、父だと思ってる人は居るよ」


黙っておこうと思ったが、ハリーの身の上話を聞いているうちに、彼と自分には共通点があると感じて、思わず話してしまった。
孤児院で育ち、ハリーにとってのハグリッドの様にリーマスという男性が迎えに来て、色々なことを教えてくれたという話を。


その話を聞いたハリーは、少し安心したように見えた。自分と似たような境遇の子に出会えたことが、彼にとって何か心強いものになったのだろう。


「驚いたよ、君ってその……どこかのお嬢様だとばっかり思っていたから」


ハリーの予想外の言葉に、チユは笑いを堪えることができなかった。どうやら、自分が世間知らずのお嬢様に見えるらしい。


確かに、チユの見た目に、リーマスから貰ったワンピースを合わせると、名家の出に見えなくもない。


「確かに、初めて見た時は、どこかの貴族みたいだと思ったね」


ロンもハリーに同調し、チユはついに堪えきれずに吹き出してしまった。貴族やお嬢様なんて自分とは真逆の存在に間違われるなんて、思いもよらない話だったから、何ともおかしくて仕方がなかった。


「あははは…やめてよ、2人共!そんな訳ないでしょ!」


チユは、しばらく笑いが止まらなかった。

/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp