第4章 赤毛の大家族
「俺の名前はフレッド」
フレッドは自信満々にそう言って、チユに向かってにっこりと微笑んだ。
「で、俺がジョージ。こいつは弟のロンだ」
ジョージが軽く手を挙げ、隣に立つロンの肩を引き寄せた。ロンは少し恥ずかしそうに笑いながら、照れくさくうつむいた。
チユはその光景を見ながら、きっとホグワーツを卒業する頃になっても、この双子を見分けることは出来ないだろうと思った。
「僕はパーシーだ、よろしく」
パーシーは、他の兄弟たちとは少し違っていた。彼は落ち着いた雰囲気をまとっていて、どこか真面目そうである。
「で、あそこに居るのが妹のジニーだ」
ジョージが指差す先には、小さな女の子がひっそりと物陰に隠れながら、こちらを見ていた。ジニーは照れくさそうに顔を赤らめ、身を縮めるようにして後ろに隠れた。
彼女の顔に浮かぶ少し緊張した表情に、「こんにちは」とつぶやきながら、チユは少しだけ微笑んだ。
それから長兄である。ビルはエジプトで働いていて、次男のチャーリーはルーマニアに移り住んでいるんだと教えてくれた。
「チユです、チユ・クローバー」
チユは少し緊張しながらも、改めて自己紹介をしてぎこちない笑顔を浮かべる。
「君も今年からホグワーツなんだろう?僕もなんだ」
ロンは少し照れくさそうに笑った。
初めて会うホグワーツの生徒の中で、同じ1年生が居るのは少し心強く感じた。
「うん、そうなの。楽しみだけど、ちょっと不安…貴方はお兄さんが3人も居るから寂しくなさそうで羨ましい」
ロンはその言葉を聞くと、首を横に振りながら肩をすくめた。
「ホグワーツに入学するのは、僕で6人目なんだ。期待に沿うのは大変だよ。それに、なにも新しい物がもらえないんだ。ローブはビルのお古、杖はチャーリーの、しかもペットだってパーシーのお下がりなんだ」
「ママ!ロニーがまた“お古の生活”に文句言ってるよ!」フレッドが突然大声で叫ぶ。
「もうこんなボロ家はごめんだってさ!」ジョージも笑いながら続けた。
「ちょっと!」ロンが慌てて声をあげると、2人はさらに楽しそうにふざけた。
その騒ぎを聞いた、モリーおばさんがキッチンのドアから顔を出し、眉をひそめて一喝した。「あなた達!」
チユはその様子を見て、思わず小さく笑みを漏らした。