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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第4章 赤毛の大家族



数時間後、バロンが戻ってきて、リーマスに封筒を渡した。リーマスは封を切り、中の手紙を取り出して目を通すと、すぐに立ち上がった。


「夕食に招待されたから、支度をしようか」


チユは少し驚いたようにリーマスを見つめた。


「招待?一体、誰に?」


「ウィーズリーという名は聞いたことあるかい?」


チユは一瞬考え込んだ。

確かに、魔法界では有名な大家族としてウィーズリー家の名前は耳にしたことがある。大勢の子供たちと、賑やかな家族が住んでいると聞いていた。

それにしても、リーマスの古い友人があのウィーズリーだとは思いもしなかった。


「あるけど…まさか、ウィーズリー家にお邪魔するの?」


チユは驚きの表情を浮かべた。あの有名な一家に足を踏み入れることになるなんて、信じられない思いだった。リーマスは微笑みながら頷いた。


「ああ、あそこには君と歳の近い子供達がいる。きっと友達になれるよ」


正直、子供は苦手だ。
特に同い年の子供は、もっと苦手。

けれど、リーマスを喜ばせる為にも友達は作りたい。
それに少しは人と仲良くなる練習になるかもしれない。


「大丈夫だよ、彼らは優しくて温かい人たちだから。心配しないで」


リーマスはそう言って、不安気なチユの頭を撫でた。
その手のひらの温もりが、チユの心を少しずつ落ち着ける。

リーマスの言葉に、少しだけ安心感を覚えるとともに、これからの新しい出会いに少しだけ希望を感じ始めた。


それから、チユはリーマスからもらった上品な黒いワンピースを手に取ると、ゆっくりと袖を通した。
しかし、そのまま鏡の前に立って、自分の姿を見てみると、何とも言えない気持ちが湧き上がった。
長い前髪が目にかかっていて、顔が引き締まらないような気がしたのだ。


「どうしたんだ?」リーマスが気づいて、チユのそばに来る。


「髪を切ってほしい」


チユは、少し恥ずかしそうに頼んだ。
リーマスは、にこやかな笑顔を浮かべて、すぐにチユの前髪を整え始めた。その優しい手つきに、チユは安心したように息を吐く。


鏡を見つめ直すと、長い金の髪は整い、金色と真紅の目が良く見えた。


リーマスの友人なのだからきっと恐れる事は何も無いと心で何度も言い聞かせる。
それに、この瞳をリーマスは魅力的だと言ってくれた、彼のその言葉を信じる事にした。

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