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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第18章 目覚めの光



「ただし、勇気にもいろいろある」

彼はしばらく間を置き、全体を見回して続けた。


「敵に立ち向かうのには大きな勇気がいる。しかし、味方の友に立ち向かうことにも、同じくらいの勇気が要るものじゃ。そこで、ネビル・ロングボトム君に10点を与えたい」


次の瞬間、大広間の壁が揺れるほどの大歓声がグリフィンドールから沸き上がった。


「ネビルに万歳!」「やったネビル!」


歓声が飛び交うなか、チユは思わず隣にいたハーマイオニーに抱きついた。


「やったね……!」


声にならないほどの気持ちを、ただぎゅっと込めて伝える。

ハーマイオニーも驚いたように一瞬きょとんとしたが、すぐににっこりと微笑み返して、優しくチユの背を撫でた。


こんなふうに、皆で笑い合って、喜び合える夜が来るなんて――ほんの数日前までは、想像すらできなかった。

ネビルは目を丸くしたまま青ざめた顔で立っていたが、グリフィンドールの皆に次々抱きつかれて、あっという間に人の波に埋もれてしまった。

彼はこれまで、寮のために1点すら取ったことがなかったのだ。


ハリーが歓声の中でロンの脇腹を肘でつつき、マルフォイを指さした。マルフォイは『金縛りの呪文』でもかけられたかのように硬直し、驚愕と動揺を顔に浮かべていた。

レイブンクローやハッフルパフの生徒たちも立ち上がって拍手を送り、スリザリンがトップから滑り落ちたことを密かに祝っていた。


嵐のような騒ぎの中、ダンブルドアが朗々とした声を張り上げた。


「したがって、飾りつけをちょいと変えねばならんのう」


彼が手を打つと同時に、グリーンの垂れ幕が真紅に、銀色が金色に変わった。

巨大なスリザリンの蛇が消え、代わりに堂々たるグリフィンドールのライオンが現れる。


スネイプが口元を引きつらせながらマクゴナガル教授と握手をしていた。スネイプの黒い目がハリーを鋭く見据える――その感情が少しも変わっていないことはすぐに分かったが、気にならなかった。


来学期には、また「いつものホグワーツ」が戻ってくる。
――ホグワーツにとっての「まともな」日常が。

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