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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第18章 目覚めの光



「次に、ハーマイオニー・グレンジャー嬢」

ダンブルドアが目を細めて言った。

「火に囲まれながらも、冷静な論理と思考力を用いて見事な判断を下した。その知性を称え、グリフィンドールに50点を与える」

ハーマイオニーは思わず腕に顔をうずめた。チユは彼女の肩が小刻みに震えているのを見て、きっとうれし泣きしているのだろうと思った。

グリフィンドールのテーブルでは歓声が上がり、すでに100点もの加点に、寮生たちはテーブルの上で踊り出しかねない勢いだった。


「そして3番目は……チユ・クローバー嬢」


大広間が、一瞬にして水を打ったように静まり返った。スリザリンのテーブルからも、レイブンクローのあたりからも、ひそひそ声すら聞こえない。

ダンブルドアは、あたたかい目でチユを見つめた。


「彼女は、恐怖の中にありながらも友を信じ、最後まで歩みを止めず、高い呪文の技術をもって仲間を支えた。その勇気、思いやり、そして忠誠心。そのすべてに敬意を表し――グリフィンドールに50点を与える」


チユはぽかんと口を開けたまま、まるで夢の中にいるようにダンブルドアを見つめていた。それから、ほんの少し頬を染めて、そっと目を伏せた。


――こんな自分でも、役に立てたんだろうか。


どこかでスプーンがテーブルから落ちる音がした。けれど次の瞬間には、再びグリフィンドールのテーブルから割れんばかりの拍手と歓声が上がった。


「やった!チユ!」

「ついにお姫様からクイーン昇格だな!」


フレッドとジョージが口々に叫び、ロンがチユの背中を軽く叩いた。チユは驚きと照れが入り混じった顔で、それでも嬉しそうに笑っていた。


「そして最後に……ハリー・ポッター君」


大広間の空気が再び静まり返る。


「その完璧な精神力と、並はずれた勇気を称え、グリフィンドールに60点を与える」

グリフィンドールの歓声は、もはや大広間の天井を突き抜けんばかりだった。どこかで誰かが椅子ごとひっくり返る音がした。

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