第3章 魔法のぬくもり
「辛い経験をしてきて、なかなか人を信用出来なくなってしまったんだね。友人が居る事は、生きる上で素晴らしいことだよ。辛い時は支えてくれたり、楽しい時間は共有できたりする。ホグワーツには様々な人が居るし、きっとチユと友達になりたいと思う人が沢山いるよ」
「そんな人、居るわけない」
そう冷たく言い放ったチユの瞳は最初に出会った頃のように酷く冷たかった。
そして、その憂いを帯びた表情は、息が止まる程の美しさを持っていてリーマスの胸が一瞬、締めつけられた。
「前に、私と君が似ているって言ったのを覚えているかい?」
「うん」
チユは言葉少なに返すと、リーマスの方を見ずに膝を抱えた。心が完全に閉ざされたようだった。
「私もずっと、ホグワーツに入学するまで、友人などというものは望めないと思っていたんだ」
チユはどうせ、自分を説得する為にそんな嘘をついているんだと言いたげな表情で彼を見た。
リーマスは一呼吸を置き、ゆっくりと口を開いた。そして、目をそらさずに告げた。
「私は人狼なんだ」
その言葉に、チユは一瞬、息を呑んだ。
人狼――――?
その意味が理解できたとき、チユの心に驚きと混乱が広がった。