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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第17章 2つの顔を持つ男



「チユ、それ……! 」
ハリーが驚いた声をあげる。

「なんで私のポケットに……?欲しい、って思ったわけじゃない。だけど……守りたいって、思っただけなの」


それだけで、鏡は応えたのだ。


ヴォルデモートの声が、低く呟く。


『惜しい子だ。お前はまだ、壊れやすい。だが、壊れる前に輝く光もあるというのか……』


――その最後の囁きとともに、黒い影は鏡の奥から消えていった。


チユはそっと、杖を胸に抱いた。


「あなたは、私の鏡には映らない。だって、私の願いに、あなたはいないから」

ハリーがそっとチユの隣に立つ。
2人の視線が、鏡の奥で交差した。


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