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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第16章 仕掛けられた罠



「ねえ…」チユが、か細い声で言った。「あの小さな瓶、私が飲むよ」

ハリーが、静かに首を振った。「これは僕の役目だよ」

「でも、もしあなたがいなくなったら……私は……」
チユの声が震え、最後の言葉は消えてしまった。


ハーマイオニーが優しく微笑み、チユの肩に手を置いた。


「大丈夫。私たちはまだ終わってないわ。あなた達がいてくれて、本当によかったって……私、何度も思ったの。皆が一緒だったから、ここまで来られたのよ」


チユはぎゅっと目を閉じた。そして、うなずいた。

ハーマイオニーが列の端にある大きな丸い瓶を手に取り、一気に飲み干した。次の瞬間、彼女は身震いして、小さく「ひゃっ」と声を上げた。


「毒じゃないんだよね?」ハリーが心配そうに聞く。

「……大丈夫。すごく冷たいけど……氷みたいでも、平気よ」

「さあ、急いで。効き目が切れる前に!」

「幸運を祈ってるわ!気をつけて!」


そう言って、ハーマイオニーは炎の中へと消えていった。


残されたのは、チユとハリー。
黒く揺れる炎が、彼らの行く末を静かに照らしていた。

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