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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第3章 魔法のぬくもり




「うーん、名前かぁ…」

チユは腕を組み、頭を悩ませた。
どんな名前をつければいいのか、思いつかない。

これからずっと一緒にいるのだから、
お洒落で素敵な名前を付けてあげたい。それに、他のホグワーツの生徒たちに馬鹿にされないような名前を…と、少し焦りながら考え込んだ。


「そんなに考え込まなくても、好きなものの名前を付けるとかどうかな?」


リーマスの言葉が、ふっとチユの頭の中に響いた。好きなものの名前…?


「好きな物……好きな物…」


チユは、これまで自分が何を好きだと思ったことがあるだろうと考えた。呪文学…? いや、呪文は得意ではあるけれど、好きというわけではない。
そもそも、そんな名前は嫌だ。


他に好きなもの


リーマスが作るご飯、リーマスがくれる甘いチョコレート、リーマスと一緒に食べたミンスパイ――


チユが思いつく全てのものには、優しく笑うリーマスの姿が浮かんできた。その笑顔を思い浮かべながら、チユはひとつの答えに辿り着いた。


「私が好きなのは、リーマス」
チユは心の中でその答えに満足し、梟に微笑みかけた。


「はは、嬉しいな。私もチユが好きだよ」
リーマスはそう言って、チユの頭を優しく撫でた。


「まぁでも、リーマスって名前を付けたら、ちょっと紛らわしいよね。うーん、何がいいかな?」

チユは梟に語りかけたが、梟はツンとそっぽを向いている。そんな姿を見て、ふとひらめいた。


「バロン」


「男爵かい?」


「うん、なんだか偉そうで、ぴったりかなと思って」


リーマスは笑いながら言った「素敵な名前じゃないか。良かったね、バロン」


リーマスが鳥籠の中に手を差し入れると、バロンはその手に顔をスリスリと擦り付けてきた。まるで彼に甘えるかのように、体をこすりつけるその様子が可愛らしかった。


それからバロンを籠から出してやると、嬉しそうにリーマスの周りをぐるぐると飛び回り、リーマスの腕に止まってはべったりとくっついてきた。


一方、チユはその光景を見て「自分の時とは全然違う」と、少し不満そうに唇を尖らせた。
リーマスはずっと困ったように苦笑いを浮かべていた。


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