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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第16章 仕掛けられた罠


「僕たちがこの部屋を横切ったら、あの鳥たちが襲ってくるんだろうか?」ロンが不安げに言った。

「多分ね…獰猛には見えないけど、数が多すぎる。全部いっぺんに来られたらどうしようもない……」ハリーが視線を扉へ向けたまま言う。「でも行くしかない。僕、走るよ」

ハリーは深く息を吸い、顔を腕で覆いながら、意を決して部屋へ飛び込んだ。鳥たちはただ舞い続けているだけで、くちばしも爪も襲ってはこなかった。

無事に扉へたどり着いたハリーは、取っ手を引いたが、鍵がかかっているようでびくともしなかった。


「鍵が……閉まってる」


チユ、ロン、ハーマイオニーが続いて駆け寄る。4人がかりで押しても引いても、扉は微動だにしない。

「アロホモラ!」チユが素早く杖を振るが、扉は反応しなかった。


「……開かない。どうして……」


悔しそうにチユが唇を噛みしめる。せっかく落ち着きを取り戻したのに、また手も足も出ない状況に直面し、わずかに手が震えていた。


「どうする?」ロンが肩で息をしながら聞いた。

その時、ハーマイオニーが鳥たちをじっと見上げながら言った。

「鳥……ただの飾りでここにいるんじゃないわ。そうじゃない。これも、何かの仕掛けなのよ」


4人は天井を見上げた。光に満ちた小鳥たちが、ふわりふわりと宙を舞っている。よく見れば、その羽ばたきの1つひとつが、規則的で……どこか作為的だった。


「ねえ……あの鳥たち、すごくキラキラしてる……」とチユが呟く。「光ってるんじゃなくて……輝いてるの。羽じゃなくて……ガラス?」

「えっ、待って。あれ、鳥じゃない……羽のついた鍵だ!」


ハリーの言葉に、皆が一斉に空を見上げた。


無数の鳥のように見えていたもの――それらは本物の生き物ではなかった。羽の代わりに薄い金属の板がついていて、どれも小さな鍵の形をしていた。魔法で動いているのだろう、空をすいすいと泳ぐように飛び回っている。
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