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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第16章 仕掛けられた罠



ハグリッドは家の外にいた。ひじかけ椅子に腰かけ、ズボンの裾をまくり上げ、大きなボウルを前に置いて、豆のさやをむいていた。
まるでのんびりとした時間を楽しんでいるようだ。

「試験は終わったかい?お茶でも飲むか?」
ハグリッドが気さくに声をかける。

「うん、ありがとう」とチユとロンが答えかけたが、その言葉をハリーがさえぎった。
「ねえ、ノーバートを賭けで手に入れた夜のことを覚えてる?その相手って、どんな人だった?」


ハグリッドは少し考え込んでから、肩をすくめて答えた。
「わからんよ。マントを着たままだったしな」


その答えがあまりにも軽い調子だったので、4人は驚きの表情を浮かべた。
ハグリッドは眉をちょっと動かしながら続けた。


「そんなに珍しいこっちゃない。『ホッグズ・ヘッド』は村にあるパブだがな、おかしなやつがうようよしてる。もしかしたらドラゴン売人だったかもしれん。顔も見んかったよ。フードをすっぽりかぶったまんまだったし」


その言葉に、チユの不安が膨れ上がった。


ハリーは、豆のボウルのそばにふらっと腰を下ろしてしまった。


「ハグリッド、その人とどんな話をしたの?ホグワーツのこと、何か話した?」
ハリーの声はいつもより低く、険しいものがあった。

ハグリッドはしばらく考え込み、思い出すように顔をしかめた。

「うん…俺が何をしているのかって聞かれて、森番をしてるって言ったんだ。そしたら、どんな動物を飼ってるかって聞いてきたんで、それに答えて…。それから……トランプでドラゴンの卵を賭けてもいいって。けど、ちゃんと飼えなきゃダメだって言ってやったよ。フラッフィーに比べりゃ、ドラゴンなんか楽なもんだって」


その言葉が重く響く。チユは背筋が寒くなるのを感じた。

「それで、その人はフラッフィーに興味があったみたいだった?」
ハリーはなるべく冷静を装って尋ねるが、その声には微かな震えが隠せなかった。

ハグリッドは何も気にせず答える。

「そりゃそうだ。三頭犬なんて、たとえホグワーツだって、そんなに何匹もいねえだろう?だから俺は言ってやったよ。フラッフィーなんか、ちょいと音楽を聞かせればすぐにねんねしちまうって」

その瞬間、ハグリッドの顔に急に焦りの色が浮かんだ。

「おまえたちに話しちゃいけなかったんだ!忘れてくれ!おーい、どこに行くんだ?」
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