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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第16章 仕掛けられた罠



「もう復習しなくてもいいんだ」
ロンが草の上に大の字になり、うれしそうにホーッと息をついた。
「ハリー、もっと嬉しそうな顔をしろよ。試験でどんなにしくじったって、結果が出るまでにまだ一週間もあるんだ。いま考えたってしょうがないだろ」

ハリーは顔をしかめ、額を手で擦りながら言った。
「ずっと傷がうずくんだ……こんなに続くのは初めてだよ」


「マダム・ポンフリーのところに行ったほうがいいわ」ハーマイオニーが心配そうに言った。


「僕は病気じゃない。きっと警告なんだ……何か危険が迫っている証拠なんだ」



ロンは寝転がったまま目を閉じた。


「ダンプルドアがいるかぎり『石』は無事だよ。スネイプがフラッフィーを突破する方法を見つけたっていう証拠もないし。それに、ハグリッドが口を動ってダンプルドアを裏切るなんてありえない。そんなことが起こるくらいなら、ネビルはとっくにクィデッチ世界選手権のイングランド代表選手になってる」


「でも、例のあの人が生きているとしたら?フラッフィーを簡単に突破できてしまうかもしれない…」
チユが不安そうに呟くと、ハリーと顔を見合わせた。


「なんだか大事なことを忘れているような気がする…」
ハリーは急に立ち上がった。

「どこに行くんだい?」ロンが眠たそうに言った。

「いま気づいたことがあるんだ」
ハリーの顔は真っ青だった。

「すぐ、ハグリッドに会いに行かなくちゃ」

「どうして?」
ハーマイオニーが追いかけるように走り、息を切らしながら尋ねた。
チユも何か違和感を感じて、2人についていきながらも心の中で不安が膨らんでいった。

「おかしいと思わないか?」
草の茂った斜面をよじ登りながら、ハリーが言った。

「ハグリッドはドラゴンが欲しくてたまらなかった。たまたまドラゴンの卵をポケットに入れた人間が現れるかい?魔法界の法律で禁止されているのに、ドラゴンの卵を持っている人がざらにいるかい?話がうますぎると思わないか?」

チユはその言葉を聞いて、胸の中に冷たいものが広がるのを感じた。


「何が言いたいんだい?」ロンが困惑しながら尋ねたが、ハリーは答えることなく、校庭を横切り、森の方へ全力疾走した。


チユは息を切らしながらも、その後を追う。

(何か、大きなことが起こる気がする)
その予感が胸にどんどん膨らんでいった。
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