第15章 森への足音
ようやくホグワーツ城へ戻ると、ハグリッドは彼らをグリフィンドールの塔まで送ってくれた。
「さあ、さっさと寝るんだぞ」
「……はい」
チユ、ハリー、ハーマイオニー、そしてネビルは静かに頷いた。
寮の入り口では、太った婦人の肖像画が居眠りをしていたが、合言葉を言うと、ぶつぶつ文句を言いながら扉を開けてくれた。
「もう夜明けじゃない」
ハーマイオニーが疲れた声で言う。
窓の外を見ると、東の空がうっすらと白み始めているのがわかった。
「今日は、もう考えるのやめよう」
チユは欠伸をかみ殺しながら言った。「とにかく、寝よう。これ以上怖いこと考えたら、眠れなくなるし……」
そう言いながら、チユはネビルの方をちらりと見た。ネビルは事情を知らない。あまり刺激を与えれば、また怯えてしまうかもしれない。
「うん……そうだね」
ハリーもゆっくりと頷いた。
重い足取りでそれぞれの部屋へと向かう。談話室のソファに座っているだけでも、まぶたが落ちてきそうだったが、チユの心はまるで嵐のようにざわついていた。
ヴォルデモートが生きている——
考えれば考えるほど、チユの頭の中はぐちゃぐちゃになった。ヴォルデモートはホグワーツにいるの?それとも森の奥深くで息を潜めているの?
いや、それどころか、いつか自分たちの目の前に現れるかもしれない。
ぐるぐると巡る思考を振り払うように、チユは布団を頭まで引っ張り、息を潜めた。
しかし、なかなか眠ることはできなかった。