第15章 森への足音
「おやおや、まるで君たちが本当に悪いことをしたみたいな扱いじゃないか!」
「まったく、冤罪もいいところだよな、姫」
左右から、そっくりな2人組がぬるりと現れた。
フレッドとジョージだ。
チユは顔を上げ、半ば呆れたように眉を上げた。
「……冤罪じゃなくて、実際やっちゃったんだけどね」
「でも、これほどの減点……さすがの僕らでも経験ないな」フレッドがわざとらしくため息をつく。
「1年生にして200点減点とは……これは快挙だぜ?」ジョージも大げさにうなずいた。
2人はしみじみと腕を組み、まるで歴史的偉業でも見つめるかのような表情をしてみせる。
「先輩として誇らしいよ」
「いや、こんな事を誇らしがられても…」
「 こりゃあ——「「偉業の記念すべき瞬間だ!」」
チユが嫌な予感を覚えた瞬間、2人はにやりと笑い、声を揃えた。
「よし、決めた!君たちの200点減点記念に、中庭で花火をあげよう!」
「ただの花火じゃないぜ! 巨大ネズミ花火だ!」
「……遠慮しておくよ。これ以上減点されたら適わないもん」
呆れたように言うチユに、フレッドとジョージは「つれないな〜」と肩をすくめたが、その顔は悪戯っぽく輝いていた。
「まあまあ、気が変わったらいつでも言ってくれ。特等席を用意するよ」ジョージがウインクする。
「お前も憂さ晴らししたいんじゃないのか?なあ、ロン」フレッドがロンの肩を叩いた
「そりゃ、したいけどさ…」
「もうこれ以上目立ちたくないよ…」ハリーがぽつりとつぶやく。
「いやいや、こういうときこそ派手にいかないと!」
「そうだぞ、ハリー!お前が暗い顔してたら、面白くないだろ?」
フレッドとジョージが朗らかに笑い、チユもつられて小さく笑った。
——彼らのおかげで、重苦しかった空気が、ほんの少しだけ軽くなった気がした。