• テキストサイズ

ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第15章 森への足音



「おやおや、まるで君たちが本当に悪いことをしたみたいな扱いじゃないか!」

「まったく、冤罪もいいところだよな、姫」


左右から、そっくりな2人組がぬるりと現れた。
フレッドとジョージだ。

チユは顔を上げ、半ば呆れたように眉を上げた。


「……冤罪じゃなくて、実際やっちゃったんだけどね」


「でも、これほどの減点……さすがの僕らでも経験ないな」フレッドがわざとらしくため息をつく。

「1年生にして200点減点とは……これは快挙だぜ?」ジョージも大げさにうなずいた。


2人はしみじみと腕を組み、まるで歴史的偉業でも見つめるかのような表情をしてみせる。


「先輩として誇らしいよ」

「いや、こんな事を誇らしがられても…」


「 こりゃあ——「「偉業の記念すべき瞬間だ!」」


チユが嫌な予感を覚えた瞬間、2人はにやりと笑い、声を揃えた。


「よし、決めた!君たちの200点減点記念に、中庭で花火をあげよう!」

「ただの花火じゃないぜ! 巨大ネズミ花火だ!」


「……遠慮しておくよ。これ以上減点されたら適わないもん」

呆れたように言うチユに、フレッドとジョージは「つれないな〜」と肩をすくめたが、その顔は悪戯っぽく輝いていた。

「まあまあ、気が変わったらいつでも言ってくれ。特等席を用意するよ」ジョージがウインクする。

「お前も憂さ晴らししたいんじゃないのか?なあ、ロン」フレッドがロンの肩を叩いた


「そりゃ、したいけどさ…」

「もうこれ以上目立ちたくないよ…」ハリーがぽつりとつぶやく。


「いやいや、こういうときこそ派手にいかないと!」

「そうだぞ、ハリー!お前が暗い顔してたら、面白くないだろ?」


フレッドとジョージが朗らかに笑い、チユもつられて小さく笑った。
——彼らのおかげで、重苦しかった空気が、ほんの少しだけ軽くなった気がした。

/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp