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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第15章 森への足音



「察しはつきます。ドラゴンなんて嘘をついてマルフォイを誘い出し、問題を起こさせようとしたのでしょう? ですが、マルフォイはすでに捕まえました。そして、あなた方は、ここにいるロングボトムがこんな作り話を本気にしたことを、滑稽だと笑っているのでしょう?」


チユは、喉の奥で小さく息をのんだ。


良かった…。


先生の誤解のおかげで、透明マントやノーバートの存在がバレるという最悪の事態は免れたようだ。
……とはいえ、状況が最悪であることに変わりはない。

チユが横目でネビルを見ると、彼はショックを受け、しょげ返っていた。


(あぁ、かわいそうなネビル……)


夜中にわざわざ危険を知らせようと、暗闇の中を探し回ったのだろう。
本当のことを話して安心させてやりたい。できるなら、ぎゅっと抱きしめてやりたかった。


「一晩に4人もベッドを抜け出すなんて…こんなことは前代未聞です! ミス・グレンジャー、あなたはもっと賢い生徒だと思っていましたよ。ミスター・ポッター、あなたにとってグリフィンドールとは、もっと価値のあるものではなかったのですか?」


そして、先生の視線がチユに向いた。


「ミス・クローバー……あなたは、もう少し分別があると願いたかったのですが」

——リーマスがこれを知ったら、きっとがっかりするだろう。
そう思うと、胸が少しだけ痛んだ。


「4人とも、処罰です…あなたもですよ、ミスター・ロングボトム。1人50点減点です」
先生は、怒りを押し殺した声で言い、鋭く息を吐いた。



——200点。
それはあまりにも大きな代償だ。



「先生どうか、そんなことは…!」
ハーマイオニーが震えた声で懇願する。


チユは寮杯には興味がなかったが、それでも、せっかくハリーがクィディッチで頑張って獲得したリードを一瞬で失うのは、彼の努力を知っているだけに辛かった。

「そんな、ひどい…」
ハリーが呆然とつぶやく。

「さあ、みんなベッドに戻りなさい。グリフィンドールの寮生を、これほど恥ずかしく思ったことはありません」


ハーマイオニーの顔が青ざめる。ハリーは悔しそうに唇を噛みしめ、ネビルは肩を落とした。
そしてチユは……溜め息をつくしかなかった。

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