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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第15章 森への足音



最悪の事態になった。

フィルチに捕まった3人は、そのまま2階のマクゴナガル先生の研究室へと連行された。

チユは頭をフル回転させながら、必死に言い訳を考える。


「夢遊病なんです!」
……いや、無理がある。

「私たちはただ、夜の城を探検するツアーに参加していただけで」
……考えれば考えるほど、フレッドとジョージが考えつきそうなデタラメな言い訳ばかり浮かんでくる。


きっと、マクゴナガル先生には通用しないであろう。
今度ばかりは、どう切り抜ければいいのか全くわからなかった。絶体絶命だ。

そしてさらに追い討ちをかけるように、マクゴナガル先生が現れた。
なんと、その後ろにはネビルが立っていた。


「ハリー!」


ネビルは3人を見つけるなり、弾かれたように話し始めた。

「探してたんだよ! 注意しろって教えてあげようと思って。マルフォイが君を捕まえるって言ってたんだ。あいつ言ってたんだ、君がドラゴ——」

「ネビル!」

ハリーが素早く頭を振り、慌てて彼を黙らせようとした。
だが、時すでに遅し。


チユは頭を抱えたくなった。なんでこんな時に限って正直者が現れるんだ。


マクゴナガル先生は鋭い視線を4人に向け、眉をぴくりと動かした。
その顔は、ノーバートよりも激しく火を噴きそうなほど怒りに満ちている。


「ミスター・フィルチは、あなたたちが天文台の塔にいたと言っています。明け方の1時に、ですよ」

先生の声が冷たく響く。

「どういうことなんですか?」


チユは、ハーマイオニーなら何とかしてくれるかもしれないと期待したが、彼女はまるで銅像のように固まり、スリッパのつま先をじっと見つめている。

沈黙が重くのしかかる。


チユは焦った。何か言わなければ。


「ええと、実は天文学の自主学習を…」

口を開いた瞬間、マクゴナガル先生が静かに、しかし確信をもって言い放った。

「誤魔化しは通用しませんよ、何があったか、私にはよくわかっています」


その一言で、チユの全身が凍りついた。
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