第14章 ドラゴンの子、ノーバート
「じゃあ、計画がマルフォイに知られたってこと…?」ハーマイオニーが青ざめた顔で言う。
「けど、今さら計画を変えるわけにはいかないよ。それに、マルフォイはこっちに透明マントがあることを知らない」
ハリーの言葉に、みんなは少しだけ希望を持ったが、それでも不安は拭えなかった。
そのとき、チユが意を決したように言った。
「私とハリーで行く」
「え?」
突然の申し出に、皆が驚きの声を上げた。
「ロンの代わりに私が行くよ。私なら、もし何かあっても呪文で対処できるかも」
ここまで来たら、何としてでもノーバートを無事に送り届けなければならない。
ハグリッドを犯罪者にしないためにも。
「でも、君…肝心な時に限って杖を忘れるじゃないか?」
ロンが呆れたように言うと、チユはムッとして反論した。
「大丈夫! あれ以来、肌身離さず持ってるもの、シャワー室でだってね!」
「それはそれでどうなんだ?」
ロンが半笑いしながら突っ込むと、ハリーも思わず吹き出しそうになった。
しかし、ハーマイオニーはまだ不安そうだった。
「私も運ぶわ、でも3人だとマントは窮屈よね」
「うーーん……あっ、透明薬は?」
「透明薬?」
「そう! 飲めば体が透明になる薬。これを使えば、マントなしでも見つからない」
「……君が作るの?」
ロンが疑わしげに言った。
「授業でまともな薬を作れたこと、1度もないよね?」
「失礼だね!ちゃんとやればできるもん!」
「じゃあ、その "ちゃんと" を今まで1回もやってこなかったの?」
ロンの鋭い突っ込みに、チユはむっとしながらも続けた。
「えーっと、確か材料は…飛び跳ね毒キノコの傘に、ニワヤナギの小枝……それと、トロールの鼻糞!」
「トロールの鼻糞? どうやって手に入れる気?」ハリーが眉をひそめる。
「うーん…それが問題だよね」
チユは考え込んだが、すぐにハーマイオニーがため息をついた。
「無理に決まってるわ。それに、成功する保証もない」
「やっぱり透明マントを使うしかないな」
結局、3人はため息交じりに頷いた。
それから、チユ、ハリー、ハーマイオニーの3人で透明マントを使って連れ出すことに決まったのだった。