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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第14章 ドラゴンの子、ノーバート



「じゃあ、計画がマルフォイに知られたってこと…?」ハーマイオニーが青ざめた顔で言う。

「けど、今さら計画を変えるわけにはいかないよ。それに、マルフォイはこっちに透明マントがあることを知らない」

ハリーの言葉に、みんなは少しだけ希望を持ったが、それでも不安は拭えなかった。
そのとき、チユが意を決したように言った。


「私とハリーで行く」

「え?」


突然の申し出に、皆が驚きの声を上げた。


「ロンの代わりに私が行くよ。私なら、もし何かあっても呪文で対処できるかも」


ここまで来たら、何としてでもノーバートを無事に送り届けなければならない。
ハグリッドを犯罪者にしないためにも。


「でも、君…肝心な時に限って杖を忘れるじゃないか?」


ロンが呆れたように言うと、チユはムッとして反論した。


「大丈夫! あれ以来、肌身離さず持ってるもの、シャワー室でだってね!」

「それはそれでどうなんだ?」

ロンが半笑いしながら突っ込むと、ハリーも思わず吹き出しそうになった。
しかし、ハーマイオニーはまだ不安そうだった。


「私も運ぶわ、でも3人だとマントは窮屈よね」

「うーーん……あっ、透明薬は?」

「透明薬?」

「そう! 飲めば体が透明になる薬。これを使えば、マントなしでも見つからない」

「……君が作るの?」
ロンが疑わしげに言った。


「授業でまともな薬を作れたこと、1度もないよね?」

「失礼だね!ちゃんとやればできるもん!」

「じゃあ、その "ちゃんと" を今まで1回もやってこなかったの?」


ロンの鋭い突っ込みに、チユはむっとしながらも続けた。


「えーっと、確か材料は…飛び跳ね毒キノコの傘に、ニワヤナギの小枝……それと、トロールの鼻糞!」


「トロールの鼻糞? どうやって手に入れる気?」ハリーが眉をひそめる。

「うーん…それが問題だよね」

チユは考え込んだが、すぐにハーマイオニーがため息をついた。


「無理に決まってるわ。それに、成功する保証もない」


「やっぱり透明マントを使うしかないな」


結局、3人はため息交じりに頷いた。
それから、チユ、ハリー、ハーマイオニーの3人で透明マントを使って連れ出すことに決まったのだった。
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