第14章 ドラゴンの子、ノーバート
チャーリーからの返事が届いたのは、その翌週だった。
手紙には、快く引き受けるという返事と
**『土曜日の真夜中、1番高い塔にリッジバックを連れてくるように』**という指示が書かれていた。
「……どうやってノーバートを誰にも気づかれずに運び出そう?」
悩むハリーに、ハーマイオニーが考え込むように口元に指を当てた。
「それが問題ね……ノーバートはまだ小さいけど、それでも夜の校内を見つからずに移動するとなると…」
すると、ハリーがはっとしたように顔を上げた。
「透明マントがある! 僕とロンとノーバートくらいなら、なんとか隠せるんじゃないかな?」
ハリーの提案にほかの3人もすぐに同意した。
こうして、秘密のドラゴン輸送計画は進み始めた――。
しかし、障害が起きてしまった。
手紙が届いた翌日、ハグリッドの小屋でノーバートに餌をやるのを手伝っていたロンの手が2倍ぐらいの大きさに腫れ上がった。
ロンはドラゴンに噛まれたことがばれるのを恐れて、マダム・ポンフリーの所へ行くのをためらっていた。
だが、昼過ぎにはそんなことを言っていられなくなった。傷口が気持ちの悪い緑色になったのだ。どうやらノーバートの牙には毒があったようだ。
その日の授業が終わったあと、3人は医務室に飛んでいった。
ロンは酷い状態でベッドに横になっていた。
「あぁ、どうしよう……大変だ……」
ロンは狼狽えながら、ぶよぶよに腫れた手を見つめた。
「大丈夫だよ、マダム・ポンフリーがちゃんと治してくれる」チユが優しく背中をさすりながら、落ち着かせるように言った。
しかし、ロンはさらに深刻な顔をして呻いた。
「違うんだ…もちろん手も痛いけど……それより、もっとマズいことが起きたんだ……」
「何が?」ハリーが不安そうに尋ねると、ロンは唇を噛んでから、しぶしぶ打ち明けた。
「さっきマルフォイがここに来たんだ。それで『何に噛まれたのか、本当のことをバラすぞ』って脅してきた…」
「マルフォイが!? まさか僕たちの話を聞かれてたんじゃ…」
ハリーが険しい顔で言うと、ロンはさらに肩を落とした。
「それだけじゃない…マルフォイの奴、僕の本を奪っていったんだ……僕、その本の中にチャーリーからの手紙を挟んでたのを忘れてて……」
「えぇっ!?」
ハーマイオニーが息をのんだ。
