第14章 ドラゴンの子、ノーバート
ハグリッドは興奮で紅潮していた。
「もうすぐ出てくるぞ」と招き入れた。
卵はテーブルの上に置かれ、深い働裂が入っていた。突然キーッと引っかくような音がして卵がパックリ割れ、赤ちゃんドラゴンがテーブルにポイと出てきた。かわいいとはとても言えない。しわくちゃの黒いコウモリのようだ。
やせっぽちの真っ黒な解体に不似合いな、巨大な骨っぽい選、長い鼻に大きな鼻の穴、こぶのような角、オレンジ色の出目金のような目をしている。
赤ちゃんがくしゃみをすると、鼻から火花が散った。
「すばらしく美しいだろう?ノーバートって名前を付けたんだ」
「うーーん…思ってたより……可愛いくない……かも」
チユは少し困ったような表情で言った。
ハグリッドを傷つけまいと気を使いながらも、心の中では予想していたものとはかなり違う姿に驚いていた。
「外に放せば?自由にしてあげれば?」とハリーがうながした。
「そんなことはできん。こんなにちっちゃいんだ。死んじまう」
「でも、ドラゴンってすぐに大きくなるんでしょう?ここで飼い続けるなんて無理だよ…」とチユが言った。
「そ、そりゃ…俺もずっと飼っておけんぐらいのことはわかっとる。だけんどほっぽり出すなんてことはできん」ハグリッドは唇をかんだ。
「チャーリー」ハリーが突然ロンに呼びかけた。
「君までおかしくなっちゃったか。僕はロンだよ。わかるかい?」
「違うよチャーリーだ、ルーマニアでドラゴンの研究をしているチャーリーにノーバートを預ければいい。面倒を見て、自然に帰してくれるよ!」
ハリーは自信満々の提案に、その言葉にロンの目がわずかに輝いた。
「名案!ハグリッド、どうだい?」
みんなの必死な説得により、ハグリッドはとうとう、チャーリーに頼みたいというふくろう便を送ることに同意した。