第14章 ドラゴンの子、ノーバート
ある朝へドウィグが、ハリーにハグリッドからの手紙を届けた。たった一行の手紙だ。
『いよいよ孵るぞ』
「急がないと!」
チユが立ち上がると、ロンもそれに続いたが、ハーマイオニーは顔をしかめて言った。
「ダメよ!」
「だって、ハーマイオニー、ドラゴンの卵が孵るところなんて、一生に何度も見られると思うかい?」ロンが必死に説得する。
「授業があるでしょ。さぼったらまた面倒なことになるわよ」
「お願い、お願い!こんなチャンス、二度と来ないよ!」チユが駄々をこねる。
「静かに!」ハリーが小声で言った。
マルフォイがほんの数メートル先にいて、立ち止まってじっとこちらを見ている。明らかに何かを聞こうとしている様子だ。
「どこまで聞かれたんだろう…」ハリーが不安げに呟く。
「でも、何も言ってこないってことは、大丈夫だと思う」ロンが励ますように言ったが、ハリーの心配は消えてないようだった。
結局、マルフォイのことが気になりながらも、4人は渋々『薬草学』の教室へと向かうことになった。途中、チユとロンはまだ駄々をこねていた。
説得が効き、とうとうハーマイオニーが折れて、午前中の休憩時間に急いで小屋に行ってみようということになった。
授業の終わりを告げるベルが城から聞こえてくるやいなや、4人は校庭を横切って森のはずれへと急いだ。