第14章 ドラゴンの子、ノーバート
1時間後、ハグリッドの小屋を訪ねると、ハグリッドは慎重にドアを開け、3人を中に入れるとすぐにドアを閉めた。中は窒息しそうなほど暑かった。暖炉にはごうごうと炎が上がっている。
「ねえ、フラッフィー以外に『賢者の石』を守っているのは何か教えてよ」
ハリーが早々に尋ねるとハグリッドはしかめっ面をした。
「そんなことはできん、まず俺が知らん。それに、おまえさんたちはもう知りすぎちょる。石がここにあるのは、グリンゴッツから盗まれそうになってなぁ…もうすでにそれにも気づいとるだろうが」
「ねぇ、私たちに言いたくないだけでしょう?知ってるのよね。だって、あなたの知らないことなんかないんですもの」
ハーマイオニーはやさしい声でおだてた。
ハグリッドのひげがぴくぴく動き、ひげの中でニコリとしたのがわかった。
「ハグリッドは信用されてるもんね」チユも少し甘い口調でおだてる。
ハグリッドはどこか素直で悪意がないからこそ、少しおだてれば、すぐにでも口を開きそうだった。
「私たち、石が盗まれないように、誰がどうやって守りを固めたのか考えてるだけなの。ダンブルドアが頼りにしてるのは誰かしらね、ハグリッド以外に」ハーマイオニーが追い打ちをかける。
その言葉を聞いた瞬間、ハグリッドは胸を張った。チユは、ハーマイオニーの言葉がうまく効いたことにほっとした。「よくやった」と彼女に目配せする。
「まあ、それくらいなら言ってもかまわんだろ――俺からフラッフィーを借りて――何人かの先生が魔法の罠をかけて―――スプラウト先生、フリットウィック先生、マクゴナガル先生、クィレル先生、もちろんダンブルドア先生もちょっと細工したし、後は……そうそう、スネイプ先生」
「「スネイプも!?」」4人が声を揃えた。
「ああ、そうだ。まだあのことにこだわっとるのか?スネイプは石を守るほうの手助けをしたんだ。盗もうとするはずがなかろう」
スネイプが石を守る側にいるならば、ほかの先生がどんなやり方で守ろうとしたかも簡単にわかるはずだ。
「ハグリッドだけがフラッフィーをおとなしくさせられるんだよね?誰にも教えたりはしないよね?」ハリーは心配そうに聞いた。
「俺とダンブルドア先生以外は誰1人として知らん」
ハグリッドは得意げに言った。
「そう、それならひと安心だ」
