第14章 ドラゴンの子、ノーバート
「ハグリッド!図書館で何してるんだい?」ロンの声に、チユも視線を向ける。
ハグリッドがバツが悪そうにもじもじしながら現れ、背中に何かを隠している。モールスキンのコートが図書館の静けさに全く合っていない。
「いや、ちーっと見てるだけだ。おまえさんたちは何をしてるんだ?」ハグリッドが突然疑わしげに尋ねた。「まさか、ニコラス・フラメルをまだ探しとるんじゃねえだろうな」
「そんなのもうわかってるさ」とロンが胸を張った。
「それだけじゃない。あの犬が守ってるものも知ってるよ。賢者のい――」「シーッ!」ハグリッドが急いで周りを見回して口を塞ぐ。
「そのことは大声で言い触らしちゃいかん。あとで小屋に来てくれ。ここでそんなことを喋られちゃ困る。生徒が知ってるはずはねぇんだから。俺がしゃべったと思われるだろうが…」
実際、ここまで知ったのは、ハグリッドがうっかり口をすべらせたせいだった。
そして、彼の反応から、三頭犬が守っているのは賢者の石に違いない。
「じゃ、後で行くよ」とハリーが言い、ハグリッドはモジモジしながら去った。
「ハグリッド、背中に何隠してたんだろう?」
「石と関係があったりして…」とチユが考え込んだ。
「僕、ハグリッドがどの書棚にいたか見てくるよ」
勉強にうんざりしていたロンが言った。
ほどなくロンが本をどっさり揃えて戻ってきて、テーブルの上にドサッと置いた。
「ドラゴンだよ!」ロンが声をひそめて言った。「ハグリッドはドラゴンの本を探してたんだ」
チユはロンの言葉を聞いて少し驚き、興味を引かれた。「ドラゴン…?」
「ハグリッドは前からドラゴンを飼いたいと思ってたって、そう言ってたよ」ハリーが言った。
「でも、僕たちの世界じゃ法違反だよ。みんな知ってる。どっちみちドラゴンを手なずけるのは無理なんだ。狂暴だからね。チャーリーが野生のドラゴンにやられた火傷を見せてやりたいよ」
「だけどまさか、イギリスに野生のドラゴンなんていないんだろう?」とハリーが聞いた。
「いるともさ」ロンが答えた。
「ハグリッドはいったい何を考えてるんだろう?」
チユは疑問を口にした。他の皆もその言葉に頷き、同じように不思議そうな表情を浮かべる。