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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第13章 再会と新たな謎



「怪我はない?」ネビルが心配そうに尋ねるが、彼自身も全身がボロボロだった。

「うん、ただちょっと汚れただけ。マルフォイ、全然力を入れてなかったから」

さすがに、マルフォイも女子を痛めつける趣味はないようだ。

「それって、あいつがただ貧弱だからじゃないの?」
ロンが軽蔑のこもった口調で言うと、思わず笑ってしまった。


「それより、ハリーはどうなった?」


チユが視線をピッチに移すと、ハリーが空高くスニッチを掲げていた。チームメイトに囲まれたハリーの顔には、勝利の輝きが浮かんでいた。

「こんな早く試合が終わるなんて!」ロンは信じられない様子で、笑いながら言った。

すると、観客席の真下から大きな声が響いた。フレッドとジョージが興奮した様子で駆け寄ってきた。


「見たかい、俺らの伝説的コンビネーション!」

「さて、我々の栄光の戦いに対する約束の褒美をそろそろ検討してもらおうか!」


その声を聞いて、チユは一瞬で思い出した。

「あ、あの時の…!」

そうだ、前回の試合後に次の試合に勝ったら何かご褒美をあげると約束した事をすっかり忘れていた。
そしてまたしても、彼らの見事なプレーを見逃してしまったことに気づき、少しだけ申し訳なさを感じた。


「約束?ご褒美?」ロンが首をかしげ、不思議そうに言う。

「うーん、…次に試合に勝ったら、何かご褒美をあげるって言ったんだ。今、思い出したけど」

「そうだ!こんなのはどう?豪快にチョコレートケーキを顔面にぶち込んであげるとか!」と、まったく参考にならない提案をしてくれた。

「それ、あなたの個人的な恨みが含まれてない?」


チユが冷静に言うと、ロンはただ肩をすくめてにっこりと笑った。


その後、怪我をしていることに気づいたハーマイオニーに、マダム・ポンフリーの元へ無理に連れて行かれた。チユ自身は怪我をしていなかったが、彼女も無理やり引きずられるようにして歩かされる羽目になった。

「どうして君はあんなにたくさん呪文を知っているのに、杖を抜かなかったんだ?」
ロンが頬に氷を当てながら、疑問を投げかけた。

「うっかり命を奪っちゃったら大問題でしょ、アズカバンなんて絶対にごめんだよ!」


冗談のつもりで言った言葉だったが、ネビルは真剣に受け取ってしまったようで彼の顔は青ざめていた。

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