第13章 再会と新たな謎
マルフォイは2人の冗談が込められた挑発に顔をしかめ、そして不快そうに言った。
「グリフィンドールの選手がどうやって選ばれてるか知ってるかい? 気の毒な連中ばかりだよ。ポッターなんて両親もいないし、ウィーズリー家は金が無いし――。あ、ロングボトム、君も仲間に入るべきだね。脳みそが無いから。」
マルフォイの冷笑が響く中、ネビルは顔を真っ赤にし、力を振り絞るように叫んだ。
「マルフォイ、ぼ、ぼく、君なんか十人束になっても敵わないぐらい価値が有るんだ!」
その声は震えていたが、眼差しはどこまでも真剣だった。彼の心の奥から湧き上がる何かに、マルフォイは一瞬だけ不安を感じたが、すぐにそれを笑い飛ばした。
「そうだ、ネビル!もっと言ってやれ!お前はマルフォイよりずっと価値があるんだ!」
その言葉に勇気づけられたネビルは体を震わせながらもマルフォイを睨み返す。
その時、マルフォイがさらに追い打ちをかけた。
「ロングボトム、もし脳みそが金で出来ていたとしたら、君はウィーズリーよりも貧乏なんだよ」
その瞬間、チユは耐えきれず、マルフォイに向かって飛びかかり、その手を掴み、彼を地面に引き倒した。
「あなたの考え方こそ、まるで貧相だよ!」
「ふ、ふざけるな!」
マルフォイの情けない声が響き、ネビルとロンも一緒にマルフォイを押さえ込んだ。クラッブとゴイルが手を伸ばして来たが、ネビルの肩を押し、ロンがゴイルを引き倒すと、戦いはさらに激化した。
「行けっ!ハリー!」
ハーマイオニーが椅子の上に跳び上がり、声を張り上げた。ハリーがスネイプのほうに猛スピードで突進してゆく。
その後ろで、チユとマルフォイが椅子の下で転がり、地面に叩きつけられている音が響き渡り、ロンとネビル、クラッブとゴイルが取っ組み合う。
ハーマイオニーはそれにまるで気づかず、ただただハリーに声をかけ続けた。
すると、突然スタンドが一斉に沸き上がった。
「ロン!チユ!どこ行ったの?試合終わったわよ!ハリーが勝ったわ!」
ハーマイオニーが興奮し、椅子の上で跳び跳ねている。彼女の声が場内に響き渡ると、取っ組み合いをしていた全員の動きがピタリと止まった。
「どうやら、賭けは私たちの勝ちみたいね」
チユが言うと、悔しそうに顔を歪めたマルフォイたちは、無言でその場を去っていった。
