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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第2章 ダイアゴン横丁




「はい、お嬢さん、終わりましたよ!」


「どうも、マダム。」


チユが軽く一礼すると、マダム・マルキンはにっこりと微笑んだ。
採寸中、何度も様々な言葉でチユを褒めてくれたが、チユはその度に聞こえないふりをしていた。


「あの、普段着を何着か欲しいんですけど…」


「じゃあ、ちょっと待っててね。あなたなら何でも似合うわよ」と、マダム・マルキンは目を輝かせながら店の奥に向かっていった。



チユが深いため息をついていると、店の扉が開き、たくさんの重そうな荷物を抱えたリーマスが入ってきた。


「やあ、採寸は終わったかい?」


「うん、今、普段着を持ってきてもらってるところ」


「そうか、こっちはあらかた買い揃えられたよ」



リーマスはふうと息をついて椅子に腰掛けた。
彼にこの大荷物を1人で運ばせたことに対して少し申し訳ない気持ちになった。

悪いが、彼はとても身体が丈夫そうには見えなかった。



「さあ、持ってきましたよ。見てみて頂戴」



マダム・マルキンが両手いっぱいの洋服を抱えて戻ってきた。
チユとリーマスは思わず苦笑いを浮かべた。


持ってきた服を広げてみると、フリルがたっぷりついたブラウスや、お姫様のようなワンピースなど、どれも普段着としてはあまりにも派手で、とても着られそうにないものばかりだった。


その中で、チユはなるべく暗くてシックなワンピースを選び、「これにします」と告げた。

マダム・マルキンは少し残念そうな表情を浮かべたが、気付かないふりをして会計を済ませ、店を出た。

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