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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第2章 ダイアゴン横丁



ダイアゴン横丁には沢山のお店が並んでいる。


イーロップのふくろう百貨店とか最新式の箒。
マントの店や望遠鏡の店に不思議な銀の道具を売っている店。

それに動物の内臓をうず高く積み上げたショーウィンドウやら呪文の本の山やら薬瓶に月球儀など

同じくらいの年齢の子供たちが、箒のショーウィンドウに鼻をくっつけ、興奮したように眺めている。
その光景を見てチユも興味が湧いたが、それ以上に周りの人の多さに圧倒され、気がつけばその場に立ち尽くしていた。


「さあ、まずは制服だ。」

リーマスが言って立ち止まったのは『マダム・マルキンの洋装店――普段着から式服まで』と書かれた店だった。


「ここで採寸してもらっておいで」


「リーマスは?」


「私は教材や必要な物を揃えてくるよ 」



1人になるのが不安そうな顔をしたチユに、リーマスは優しく肩をポンポンと叩いた。
「店主のマダム・マルキンは優しいから大丈夫だよ。それに、普段着を何着か選んでくるといい。これから必要になるだろうから。」


「分かった…」

チユは少し不安そうに答えると、店の中に足を踏み入れた。


店内に入ると、藤色ずくめの服を着た、ずんぐりとした愛想のいい魔女が声を掛けてきた。

「お嬢ちゃん。ホグワーツに行くの?」

それが店主のマダム・マルキンだった。

チユは少し遠慮がちに「はい」と答えると、マダム・マルキンは嬉しそうに笑って、「じゃあ、こっちに来てサイズを測りましょう」と言いながら、店の奥へと案内してくれた。


マダム・マルキンはチユに踏み台に立たせ、帽子を取るように言った。


制服の採寸に帽子を取る必要があるのかと思ったが、口に出すのも億劫だったので、言われた通り帽子を取って戸棚に置いた。すると、マダム・マルキンが目を丸くして言った。

「まあ!お人形さんみたいだわ!」


チユは一瞬驚いて顔を赤くし、すぐに下を向いて何も答えなかった。
容姿について何か言われるのがどうしても苦手だった。


「ごめんなさいね、つい感動しちゃって。採寸を始めちゃうわね」
マダム・マルキンは慌てて謝り、バツが悪そうに笑った。

そう言って、マダム・マルキンはチユの頭から黒いローブをかけ、その丈をピンで止めながら採寸を始めた。


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