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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第13章 再会と新たな謎



チユはロンとハーマイオニーと一緒にハリーを見送った。ハリーが試合に向かう姿を見つめながら、胸の奥で不安が静かに広がっていくのを感じていた。


ハリーが無事に戻ってこられるのか、それとも――。


心の中で何度もその不安を繰り返していたが、口には出さなかった。

「幸運を祈るよ、ハリー」チユは微笑んで言ったが、その笑顔の裏に隠れた心配はどうしても隠しきれなかった。

ハリーが更衣室に入ると、チユたちはスタンドに向かった。
ネビルの隣に座ると、彼は3人が深刻な顔で杖を握りしめていることに気づき、首をかしげた。


「なんでそんなに真剣な顔してるの?」と、ネビルが不思議そうに尋ねる。


チユは一瞬、言葉を飲み込んだ。

クイディッチの試合を楽しむべき瞬間なのに、自分たちはただ不安でいっぱいだった。
「いや、なんでもないよ」と軽く笑って答えるが、その笑顔もどこかぎこちなかった。ネビルは不安そうな表情を見逃さず、ますます混乱しているようだったが、チユはそれ以上何も言わなかった。

もし前回の試合のようにスネイプが呪いをかけてきたら、今度は思い切り鼻を折ってやろうと心に決めた。


「見て、ダンブルドアだわ!」


ハーマイオニーが興奮気味に指さした先を追うと、そこには確かにダンブルドアの姿があった。穏やかな顔で、広がる観客席を見渡していた。
その姿を見て、チユは少しほっとした。これで、スネイプがハリーに無闇に手を出すことはないだろう。

やがて、試合が始まる合図が鳴り響くと、選手たちは一斉に箒を駆使して空中へと舞い上がった。

その瞬間、突然、ロンが小さく声を上げた。「いたっ!」


驚いて振り向くと、目の前にはマルフォイがいた。クラッブとゴイルを従えて、まるで挑発するような冷たい笑みを浮かべながらこちらを見ている。


「この試合、ポッターはどのくらい箒に乗っていられるかな?誰か賭けないか?」


マルフォイの言葉は挑発的で、まるで試合の行方よりもハリーが失敗することを期待しているかのように。
彼の挑発には乗りたくないが、黙っているのも悔しい気がした。


チユは眉をひそめ、すぐに反応する。「試合終了まで乗っていられるに、6シックル賭けるよ」

ロンはニヤリと笑い、肩をすくめながら言った。
「じゃあ、僕はおじいさんになるまで乗っていられるに、10ガリオン賭けるさ」

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