第13章 再会と新たな謎
「…綺麗」思わずチユはその美しさに息を呑んだ。
ゼロは少し恥ずかしそうに言葉を続けた。
「家の宝物庫にあった物で申し訳ないけど、クリスマスの贈り物にと思って」
その言葉を聞いた瞬間、チユは箱をゆっくりと閉じた。魔法界でも名だたる財力を誇るグレイン家にあった物だ。おそらく、信じられないほど高価で貴重な物だろう。
「そ、そんなの受け取れないよ…」彼女の心の中には感謝と困惑が入り混じっていた。
冬の日差しがゼロの表情を照らし出す。彼は少し困った顔をして、手び箱を手に取ると、かすかに肩をすくめて言った。
「じゃあ…代わりに、こんな物しかないけど…」
彼はポケットから、蛙チョコレートを取り出した。その何気ない贈り物はなぜだか、宝石よりも暖かく感じられた。
チユはそれを両手で丁寧に受け取り、心からの感謝の気持ちを込めて微笑んだ。
「ありがとう、本当に嬉しいよ」
彼と別れた後、チユはハリー達の元に戻った。
ロンが何か言いたげな顔をして、ニヤニヤとしている。
もちろん、ロンの顔が語ることを知っていたが、敢えて触れずにそのまま蛙チョコを開ける。
紙を剥がすと、チョコレートの蛙が一度跳ねてから、彼女の手のひらに収まった。いつものように中には『有名魔法使いカード』が入っている。
「さて、今日は誰かな?」と呟きながら、カードを手に取った。
チユがカードを裏返して眺めると、その顔に見覚えがあった。カードにはダンブルドアの笑顔が描かれており、その下に詳細な説明が書かれている。『アルバス・ダンブルドア、ホグワーツ魔法魔術学校の校長』と続く文章を目で追いながら、チユはふとその下の方に目を凝らした。
「ニコラス・フラメル…?」驚きの表情を浮かべたチユは、再びカードをじっと見つめた。
『パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名』
その小さな文字の一部に、確かにフラメルの名が記されていた。
「見つけた!」その瞬間、思わず声を上げた。
「え?」ハリーとロンが一斉に顔を上げ、チユが手に持っているカードを見つめる。
カードを見せると、ハーマイオニーは驚きと興奮が入り混じった表情で飛び上がった。「本当に!?ちょっと待ってて!」ハーマイオニーはそう言うと、目にも止まらぬ速さで女子寮への階段を駆け上がっていった。