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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第13章 再会と新たな謎



新学期の前日、夕暮れに染まるホグワーツ城に、チユは静かに戻ってきた。
石畳の廊下を歩く足音が優しく響き、懐かしい城の匂いが彼女を包み込む。
「こんな直前まで居て大丈夫かい?」とリーマスは心配そうしていたが、少しでも長く、大切な人と時間を共有したかったのだ。


グリフィンドールの談話室は、温かな光と学生たちの笑い声で満ちていた。肖像画の入り口から入ると、すぐにハリーたちの姿が目に入る。再会の喜びに顔を輝かせながら、彼らは休暇中の出来事を語り合った。


「ところで、ニコラス・フラメルについては何か分かった?」
ハーマイオニーがふと口を開いた。


ハリー、ロン、チユは顔を見合わせ、「しまった」と心の中で叫ぶ。彼らはすっかりその調査を忘れてしまっていたのだ。
その表情を見逃さなかったハーマイオニーは、鋭く言った。


「あなたたち…まさか、まだ調べてなかったの?」

「あーー……」ハリーがバツが悪そうに笑った。


3人は慌てて言葉をつなげようとするが、もはや言い訳は通用しないことを悟っていた。


「でも、聞いてよ!ハリーがすごいものをもらったんだ!」


ロンが突然、救いの手のように話題を変えた。彼の声には無邪気な興奮が満ちている。

ハリーの手元には、届いたばかりのプレゼントがあった。その中には、姿を消すことができるという、非常に貴重な『透明マント』が入っていたという。


「すごい!それさえあれば、どんな悪戯もフィルチにバレずに済むね!」チユが驚きの声を上げる。

「君、フレッドとジョージに似てきてないか?」ロンが少しからかうように言った。

チユはその冗談に柔らかく笑い、肩をすくめて受け流した。視線を談話室の向こう側に移すと、ゼロが少し離れた場所でこちらを見つめていることに気づいた。
何かを言いたげなその表情に、チユは不思議に思い、彼の元へと歩み寄った。


「久しぶりだね。休暇はどうだった?」と優しく声をかける。

ゼロは少し驚いたように目を見開き、やがて口を開いた。

「あ、やぁ...久しぶり。実は、渡したい物があって、タイミングを見計らってたんだ」


チユは不思議そうに首を傾げた。「渡したい物?」


彼はローブからいかにも高級そうな箱を取り出した。
開けると、宝石が散りばめられた美しいペンダントが姿を現した。光を受けてきらきらと輝いている。

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