第12章 初めてのクリスマス
「あのね、私も渡したい物があるの」
チユは小さな包みを彼に渡した。
リーマスは予想外のことに少し驚いた表情を浮かべたが、優しくその包みを受け取ると中身を慎重に開けた。
現れたのは、チユが心を込めて編んだ小さな手袋だった。温かい色合いの糸が編まれており、手のひら部分には細かい模様が施されていた。
彼女の不器用な手から、何度もやり直しながら完成させたその手袋には、あたたかな気持ちが込められていた。
「これ…すごく暖かそうだね。君が編んだのか?」リーマスは驚きの声を上げ、目を細めながら手袋を手に取った。
チユは少し照れくさそうに頷いた。
「うん、ちょっと失敗しちゃったんだけど……使ってもらえたら嬉しいなと思って」
彼ははその手袋を大切そうに両手で握りしめ、柔らかな笑顔を浮かべた。
「本当にありがとう、すごく嬉しいよ」
チユはその言葉に照れながらも、心から安心したように笑った。
リーマスは暖炉の火をじっと見つめながら、静かな声で言った。
「君がこんな素敵なプレゼントをくれるなんて、考えもしなかった。こんな暖かななクリスマスはいつぶりだろうか……」
リーマスの瞳には、わずかな寂しさが浮かんでいた。
彼も長い間孤独を抱えていたのだろうか――チユは胸が痛くなるような思いを抱えながら、少し考えてから静かに答えた。
「私もクリスマスがこんな素敵な日だなんて知らなかった、それにリーマスとこうして一緒にいられることが、何より嬉しい」
その言葉に、リーマスは柔らかく笑い、2人はその後も温かい時間を静かに過ごした。外の雪が降り積もる音だけが、心地よい静寂の中で響いていた。
彼と過ごすこの温かな時間が永遠に続けばいいと、心の中で願った。