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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第2章 ダイアゴン横丁



その瞬間渦に巻き込まれるような感覚に襲われ
次に目を開けるとそこは薄暗くみすぼらしいパブの様な店に出た。

カウンターには腰をかがめたしわくちゃで歯の抜けた店主であろう男がグラスを拭いていて、店内は声の大きな小人やいかにも威厳のありそうな魔法使い達で賑わっていた。

チユは一瞬、自分がきちんと発音できていなかったのでは無いかと不安になったが、直ぐにリーマスが来て「ああ、良かった。さあこっちだ」と彼女の手を引いて裏庭に出た。


リーマスは杖を取りだしゴミ箱の上のレンガを軽く叩きはじめた、チユがぽかんと呆気を取られていると
くすっと笑って「少し後ろに下がって」と言った。

すると壁が動いて目の前にアーチ型の入口が広がった

マグル対策でレンガを杖で叩かないと開かない仕組みになっていたようだ。


「す、すごい…!」
チユはその光景に圧倒され、思わず声を上げた。


「ここがダイアゴン横丁だよ」



魔法界で生まれ育ったチユだが、これまで隔離されていたため、目の前の光景はすべて新しく、物珍しいものばかりだった。歩いている人々のほとんどが、いかにも魔法使いらしい装いをしており賑わっている。


チユはリーマスの袖をぎゅっと掴んだ。


「大丈夫だ、心配しないで」


「こんなに沢山の人がいるとこなんて初めて…」


「用事を済ませて早く帰ろうか」


チユは帽子を深く被り直しリーマスの袖を掴みながら後ろにぴったりとくっ付いて歩いた。


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