第12章 初めてのクリスマス
2人の演技過剰な悲しみの表情に思わずチユの口元が緩んだ。
「テスターを引き受けた覚えはないけど」チユは腕を組んで言い返した。「それに、たった数日だよ?」
「たった数日だって!」フレッドは劇的にのけぞった。「魔法界の歴史において、もっとも長い数日になるだろうな、ジョージ君」
「間違いないね、フレッド君」ジョージは厳粛に頷く。
「リーマスが待ってるの。それにあなたたちだって、ホグワーツで十分楽しめるでしょ?」
「もちろん!新しいいたずらのアイデアが山ほどあるからね」
フレッドは突然明るく言った。
「でも、帰る前に——」ジョージが言いかけると、2人は同時にポケットから小さな包みを取り出した。
「我々からの特製クリスマスプレゼントだ!」2人は声を揃えて言った。
「開けるときは注意してね」
「爆発はしないけど、指が一時的に青くなるかも」
フレッドが意味深に笑うとジョージが補足した。
「才女様にも用意したよ」
フレッドはハーマイオニーにも似たような包みを差し出した。彼女は怪訝な表情を浮かべている。
「これは規則違反にならないものよね?」
ハーマイオニーが眉を上げて尋ねた。
「もちろん!多分な!」ジョージは無邪気に微笑んだ。
フレッドはチユの肩を軽くたたき、にっこりと笑った。
「良いクリスマスを、お姫様。帰ってきたら、我々の冬休み中の冒険談を聞かせてあげるよ」
「気を付けて行っておいで」ジョージはチユの手を名残惜しそうに握った。
「楽しみにしてるね、あなたたちも良いクリスマスを」チユは微笑み返した。
双子は同時に深々とお辞儀をし、くるりと回って去っていった。2人は振り返りながら、同時に手を振った。チユは少し名残惜しそうに彼らを見送った後、馬車に向かって歩き出した。