第12章 初めてのクリスマス
クリスマス休暇が始まると、学校の廊下に漂う空気もどこか軽やかになり、学生たちはそれぞれ家族や友人と過ごすために次々と去っていった。
今年の冬、チユはリーマスと一緒に過ごすことになっていた。彼女にとって、こんなにも楽しみなクリスマスは初めてだった。
孤児院で迎えるクリスマスは決して1人ではなかったけれど、どこか孤独を感じていた。
それでも、今年は違う。リーマスと一緒に過ごすクリスマスに胸が高鳴る。
「じゃあ、またね!良いクリスマスを」
ロンとハリーが手を振りながら声をかける。
「うん、あなたたちもね!」チユは元気よく答え、ハーマイオニーと一緒に談話室を出た。
出発の準備が整い、玄関ホールに集まった生徒たちがそれぞれ馬車に向かって歩き出す中、チユはフレッドとジョージが意味ありげな笑顔で自分の方に歩み寄ってくるのに気づいた。
「姫!我々の城から去ろうというのか!」フレッドが少し大きな声で呼びかけた。
「我々を太陽のいない暗闇に残すなんて忍びないよね」ジョージが眉を痛々しく寄せて見せた。
フレッドはチユの周りをぐるりと回りながら続けた。
「発明品のテスター第1号がいなくなるだなんて!悲劇だ!誰が我々の新作いたずら商品をテストしてくれるんだ?」
「それに誰が僕らの冗談に笑ってくれるんだい?パーシーじゃないことは確かだな」ジョージがにやりと笑った。