第11章 ハリーの空中戦
11時になると、学校中がクイディッチ競技場の観客席に集まり、ざわめきが広がった。
3人は、ネビルやシェーマス、ディーンたちと並んで座った。
ゼロも誘ったが人混みが苦手だという理由で断られてしまった。
ディーンは『ポッターを大統領に』と書いた下に、グリフィンドールのライオンの絵を描き、チユとハーマイオニーがそれに魔法をかけて、色とりどりに光る旗を掲げた。
「ねぇ、ここ、すごく高くない?」チユが不安そうに呟いた。少し泣きそうな表情をしている。
観客席は試合が見やすいよう、空中に高く設けられており、その最上段をみんなで陣取っていた。
「箒から落ちたのがトラウマになって、高いところが怖くなったの?」とハーマイオニーが問いかける。
「手でもつないであげようか?」とロンがからかうように続けた。
「大丈夫だよ!子供じゃないんだから!」とチユが反応するが、隣に座るハーマイオニーとロンの袖を、無意識にぎゅっと掴んでいる。
ついに試合が始まり、競技場は熱気に包まれた。双子と仲の良いリー・ジョーダンが実況を担当し、グリフィンドール贔屓のその実況は、グリフィンドールの生徒たちにとって、何とも心地よいものだった。
「うーん、全然見えない……」チユがつぶやく。
ハリーは上空で、豆粒のように小さく見える。みんなが双眼鏡を持っている理由が、ようやく理解できた。
「ちょっと詰めてくれ」
ハグリッドの声が、どこからか聞こえてきた。
みんなはハグリッドが座れるようにぎゅっと詰めた。
「スニッチはまだか?」首から大きな双眼鏡をぶら下げ言った。
「まだだよ。今のところハリーはあまりすることがないみたいだよ」とロンが答える。
遥か上空で、ハリーは目を凝らし、スニッチを探しながらも、下方で進行中の試合を見守りつつ、スイスイと空を飛び回っている。
「あ、見て!フレッドかジョージ、どちらかがブラッジャーを跳ね返したよ!今の、どっちだった?」とチユが興奮気味にロンに尋ねるが、ロンは首を横に振る。
「兄弟だって、この距離じゃ見分けがつかないよ。地上でも間違えることがあるんだし」
ルールが全くわからないチユは、いったい何が起きているのかさっぱりだったが、リー・ジョーダンの実況によると、どうやらグリフィンドールがわずかにリードしているらしいことだけは伝わってきた。
