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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第11章 ハリーの空中戦



11月が訪れると、寒さが一層厳しさを増し、ホグワーツを取り囲む山々は凍りつき、湖面には薄氷が張りつめた。校庭では毎朝霜が降り、冷気があたりを包み込んでいた。まるで世界がひとつの静かな氷の中に閉じ込められたかのような、凛とした空気が漂っていた。

窓から見えるのは、厚着をしたハグリッドがクィディッチ競技場のグラウンドで霜を払いながら準備をしている姿だ。これから始まるクィディッチシーズンに備え、きっとその作業をしているのだろう。


ハリーもまた、クィディッチの練習に身を入れている様子だった。練習が本格化し、忙しさを増しているのが伝わってきた。毎日がひとつの大きな追い込みのように感じられる。

もしハーマイオニーと友達になっていなければ、ハリーは宿題をこなす暇すらなかっただろう。だが、チユもまた真面目に宿題に取り組むタイプではなかったので、彼女の存在がとてもありがたかった。


トロールの一件以来、ハーマイオニー・グレンジャーは校則違反についてうるさく言うこともなくなった。ハリーやロンと同じように、一緒に過ごす時間も増えてきた。そして、4人で談話室で宿題をするのも、今ではすっかり日常になっていた。


その日も談話室の暖炉の前に集まり、みんな黙々と宿題に取り組んでいた。


ロンが魔法薬学の教科書を手に取って、顔をしかめながら不満をこぼした。


「これ、どうしてこんなに長いんだ? 10ページもレポートを書くなんて、無理だよ」


「長い? むしろ足りないくらいだわ。」
ハーマイオニーがちらりとロンを見ながら冷静に答えた。「ちゃんと書かないと理解できないでしょ?」


チユがその言葉に反応して、ロンのノートを指さして言った。


「ねえ、ここ間違えてるよ。」


ロンは困ったようにノートを見つめ、「魔法薬学のことを君に言われてもなぁ…」と、ふてくされて言った。


「失礼だね!調合はまったくだめだけど、知識だけはあるんだから!知識だけは!」


ハリーがそのやり取りを見ながら笑って言った。
「自分で言ってて悲しくならないの?」


「ねぇ、これ合ってるよね?」
チユがハーマイオニーに助けを求める。


「ええ、完璧よ。なのに、どうしていつもチユは調合を失敗するのかしら?」


そのやり取りを見ながら、ハリーは微笑んで、みんなで静かに宿題に集中し始めた。


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