第7章 【彼氏】
『かっ可愛いのは、泪..サンの方でしょっ!』
ーーーえっ....。
急に目を合わせられ、雷に手を握られた。
雷は、タレ目で大きな瞳をしている。童顔で、そしてすごく格好良い....
顔が、かぁっと赤くなった。
ーーー今思い出しても、僕はそうなっちゃうねぇ...
その時に、僕は雷の事好きになっちゃったから。
『かっ、隠しても仕方ない...俺は泪さんの事、恋愛的な意味で大好きなんだ...!』
ぎゅううっ!ともっと強く手を握られた。
『泪...サン....ど、どうしたっ!?』
その途端、僕は、頭がくらくらして、動揺して、
ーー頭が真っ白になって、言ってしまったんだ。
『.......................................手を...離せ....っ』
ーーー僕は、あまりにも照れたり恥ずかしいと感じたりすると、混乱して、とんでもなく乱暴な言葉遣いになってしまうらしい。
その後のことはよく覚えていない。
何故なら、僕がその後すぐに倒れてしまったから。
それから僕は、このまま彼を拒否するのはかわいそうかな、と思って雷とお友達になった。
..本当は僕も、彼に初めて会った日から恋心を抱いていた事に気づき、お付き合いしだすのには、またしばらく時間がかかった。
「ーーーおい!泪、聞いているのかっ!?」
僕は、ハッとする。
目の前には、雷の、泣きそうな、怒った顔。
「離れてよ........」
と、僕は雷の身体を強く押し、離そうとする。
ーーーそんなに近づかれたら、僕は、また乱暴な言葉遣いになっちゃうねぇ...それだけは....っ
それに...雷が勘違いしている僕の相手って...
恐らくはーー僕の"兄"のことだ。
「いやだっ...!泪っ...!」
キスをされる。