第7章 【彼氏】
「.......」
ふっ...と、僕は体の力を抜く。そして静かに深呼吸をした。
雷は、僕の彼氏さんだ。
「何か言えよっ!!誰なんだよっ!!昨日の奴は!!」
雷の顔が、間近にあった。
ーーーまずいねぇ...
このままだと、僕、また.....
雷と初めて会った時みたいになってしまうねぇ...
そう、あれは1年前の事。
『初めましてっ、君が...カナエ君が言っていた雷くん?』
と、髪を耳にかけながらニコリと笑った。
カナエ君は、高校からの僕のお友達。
『あっ...う、うんそうだ"ゼ"ッ...!』
最初は、雷は目も合わせてくれなかった。
ーーー今、緊張で語尾に"ゼ"をつけてたような...
僕が雷に抱いた第一印象は、
ーーー可愛いっ♡
だったねぇ...懐かしいなぁっ
『たはっ、"そうだゼ"って言い方可愛いねぇっ』
微笑みかけ、体をかたむけて距離を詰めた。
雷は僕よりも少し身長が低い人だったから。
『カナエ君から聞いたけど、僕と仲良くなりたいって本当?嬉しいっ』
たはたはと微笑み、仲良くなろうと手を伸ばした。