第6章 【親友】
海里が振り向き、俺にキスをしようとした。
ーーだけど、恥ずかしくなったらしい、俺に正面から抱きついてきた。
「お前を誰かに奪われたら...俺は好きでもない奴と結ばれ、最終的にそいつに犯されてしまうかもしれないと思った....だから...だから!!俺はお前から奪い続けた....!!」
ーーーあの海里が、泣きじゃくっている....。
だからお前は、俺から奪い続けていたのか...
誰かに奪われる前に..
俺は海里を優しく抱きしめ返した。
その瞬間、声にならないような小さな声で、本当にすまなかったと、海里が呟く。
「俺にはお前しかいなかっ...」
海里の声が、どんどん小さくなっていく。
「俺は..お前だけを見てきた...ずっと...ずっとだ...李...太...好.......................」
"き"と、言ったか言わないかぐらいで、安心したのか、海里は眠ってしまった。
「海里.....」
もっと強く抱き寄せ、海里の熱を直で感じ取った。
「................」
海里の頭に、自分の頭をそっと寄せる。
海里の側に.....一番側に、居続けてやりたい。
ーーー........あったかいな..
切にそれを願い、海里の髪についた花びらを取る。
お前もずっと、こんな気持ちで、すげぇ俺に過保護になってたりしてたのかな.....。
こんな...気持ちで.....................
海里の髪が、頬に当たるのを感じつつ、瞳を閉じた。
一筋の涙を流す海里の頭を、ずっと、撫で続けて.........
完