第6章 【親友】
「俺の事、好きなのか?」
遂に、核心をついてしまった。
ずっと、心の中で思っていた事を喋ってしまう。
まっすぐと、俺は海里の瞳を見つめる。
「.....っ!」
その瞬間、海里はーーー
ーーーなっ...!!
あの海里が、俺様気質の海里が...!
俺から顔を背け、頬を赤く染めている...
桜色の唇を、その長い睫毛を、わなわなと震わせて...
「っ...ッ」
ーーー嘘...だ...
俺の事を玩具と思ってるなんて、海里の嘘だ。
こんな表情見せられたら、嘘だと分かる。
少年を俺から奪い取ろうとするところを、運悪く俺に気付かれたからわざと悪態をついたんだ。
もう二度と、親友で居られないと悟りーー...
焦心して、自暴自棄になって、あんな台詞...
ーーー本気で、胸が締め付けられる。
「んんっ...っ!」
海里の両手首を掴み、俺は桜色の唇を奪っていた。
ーーー本当はずっと、海里とこうしたかったのかもしれない...。
お気に入りのあの女優だって、アイドルだって、みんな...
海里と似ている箇所があった。
そうでもなきゃ、こんな悪魔のような男と親友で居続ける訳がない。
...じゃなきゃ今、海里の犯した行動を健気と思ったりしてない...!
「...!?やめろ...李...太...っ...あッ...!」
海里を、コンクリで作られた、屋上の出入り口まで追いやった。