第6章 【親友】
「...俺から誘ったんだよ、全員」
海里の美しい顔に、濃い影が生まれる。
ーー勝手に向こうから惚れられたってずっと言ってたけど、嘘...だったのか.....!!
「甘い顔して優しくすれば、彼女たちはすぐ体を許したよ...」
その時の再現をするように、海里は俺に顔を近づけ、腕にしがみついてきた。
「っ...!」
バッと、反射的に海里から腕を離す。
「まさか....まさかだよな....!?」
目を見開きながら、最悪の可能性を口に出してみる。
「俺の気に入ったアイドルとか女優さんが、みんな"未成年淫行"起こしてたのって...ーーー!」
手から、冷や汗がタラリと流れ落ちる。
「俺だよ」
「は...?」
「相手は俺だよ」
俺は戦慄を覚えた。
だけどーーー不思議と、憎しみの感情は湧いてこない....
「どうして、というか、ど、どうやって...そんな事してたんだ!??」
「彼女たちの住所を全て特定したのさ、随分と苦労してな...そして誘惑すれば、後は同じ事だ...」
ーーーそんな、
ーーーそんな夢物語みたいな話...!
「あのアイドルの結婚は、タイミングが良かったよな...動く手間が省けた」
海里の自信満々な微笑みは、変わらない。
「俺はお前から全てを奪ってきたんだよ」
悪魔の台詞を吐いても、海里はこの世で最も美しい少年だった。
「なぁ海里.....」
びゅうっと、風が吹き、俺の頬に、白い花びらがくっついた。
その花びらを、海里が指で、丁寧に取る。
「何か、おかしな事を言ったか俺は?」
ーー今から、美し過ぎるこの海里の事を、めちゃくちゃに傷付けてしまう。
そんな気がした。
「あのさぁ、もしかして海里ってさぁ....」
「どうした?」