第6章 【親友】
無意識のうちに、俺は顔をしかめていた。
「李太...俺は見定めてやってるだけさ、あの男の事を」
肩にポンと、手を置かれる。
「お前の"親友"としてな...」
"親友"...
お前は本当に、俺の事をそう思っているのか...?
海里、お前本当は...
「何か...前にも似たような事あったような...それもたくさん」
言葉をぼかしたが、海里は思い当たる節があったようだ。
「...李太、まだあの女に惚れているのか?」
余裕の笑みを、海里は崩さない。
「違ぇけど...」
そう。
海里は、俺の好きな人に惚れられるだけじゃなく、彼女達を恋人にしてきた。
『ーーー知らなかった...李太が、彼女を好きだなんて...』
その度に表情を切なげに曇らせる、美しい表情が忘れられない。
ーーーでも今回は、海里から近寄ってたじゃねぇか...!
少年に対しては何の感情も無いが、嫌な予感がする。
「俺はお前を裏切ったりしない...」