第6章 【親友】
授業の合間の休み時間は、いつも俺の席に来るのに。
今は来ない。
海里の席は、ガラ空きだった。
視線を動かして海里を探す。
ーーーいた...
今朝の、あの例の少年に話しかけている。
よそゆきの美しい笑顔で。
ーーーな、何やってんだ...!?
教室のカーテンが、風で揺らいだ。
少年は俺に惚れているはずだった。だが海里の甘い顔に動揺しているようだ。
美少年の登場に、少年の友達もたじろいでいた。
そして海里は、少年の耳元に桜色の唇を寄せる。
内緒話をしているらしいが、風のせいで何も聞き取れない。
ーーーどういう...つもりなんだよ...
今すぐに教室の窓を閉めたい。衝動に駆られる。
ガラッ...!と、教室のドアを開けた。
少年と話し終わったらしい。海里は廊下に出ていた。
迷わずに肩を掴む。
「海里...お前、何企んでんだよ」
すると、海里はゆっくりと振り向いてきた。
まるで俺が追いかけるのを見抜いていたかのように。
「何って?」
飄々とした態度が、若干鼻につく。
「あの子に、何をするつもりなんだって聞いてるんだ」