第6章 【親友】
そのまま完全にギュッ!と、海里に強く抱きしめられる。
周りにいた女生徒達は、またやってるよぉあの2人〜♡と、ソワソワしながら、皆教室に移動していた。
「あ、ああなんだぁ!?海里ぃ!?「悪いな...ちょっと虫ケラが...「はぁあ!?」
息が苦しい。顔に、海里の胸板が押し付けられる。
「あ、ご、ごめんね海里くん....ちょっと、李太くんに渡したいものがあるんだ...僕...」
姿は見えなかったが、同じクラスメイトの男子が俺に話しかけたのだと、声で分かった。
「...........」
海里は無言だった。
「お、おい離せよ海里..!虫なんて今はいいから...っ!その子は、俺に用があるんだってな...!」
急に、あっさり身体を離された。
「渡したいものって何だ?」
親友に謎に抱きつかれたところを目撃された気まずさで、俺はにこやかに対応する。
「こ...これっ...!!何も言わずに受け取って下さい!!」
その男子は、腰をしっかりと曲げて、手紙を俺に差し出す。
「えぇっ!?こ、これって...」
「じゃあっ!!」
その少年が顔を赤くして去っていく。
呆然としている内に、横から海里に手紙を奪い取られた。
「あっちょっちょっと俺より先に見んなよっ..!!」
これを喋ってる最中に、中身を勝手に空けられ、内容を読まれる。