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愛おしい彼は、僕の...《R18》

第6章 【親友】




少し潤んだ、桜色の唇。


「......」


俺は、ぼへーっとそれを眺めていた。


「李太、今日ちゃんと体操服持ってきたか」


その唇が開かれて、はっと我に返った。 


「4月の頃、よく忘れていただろ?」


昇降口で、挨拶を交わし合う生徒の声が、耳に入ってくる。
バコッと、俺の頭の後ろで靴が置かれた。


俺がぼーっとするのも無理は無い...。


目の前には、絵本の中の王子様が間違って飛び出してきたかのような、美少年の親友ーー海里がいるのだから。


硝子のように、触れたら壊れてしまう位の繊細な顔立ちをしていた。


海里は、瞬きをするたび、長い睫毛が、前髪に当たっている。


「あーうん、大丈夫だから、海里」


ポリポリ、と俺は頭をかく。
そしたら急に頭を撫でられてしまった。


ーーーこいつ、俺をおちょくってやがる....


「良い子だ李太...それと、放課後の理科準備室には絶対近づくなよ。行かなきゃならない時は、俺がついて行ってやる...」


グッ、と強引に、海里に腕を引かれる。
落っこちそうな蜘蛛から、守ってくれたらしい。
 

「それ毎日聞くけど、何だ?学校の七不思議か何かか?あとありがとな、海里」


じ〜っと見つめたけど、海里はツンとすましているだけだった。


ほんと、何もしなくても絵になる奴だ..


そして、俺にだけ過保護な男だった。


「お前は黙って俺の言うことを聞いておけ。そんな事よりも....」


..出た、海里の俺様発言。


海里は、桜色の唇を、美しく歪ませた。


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