第5章 【ご主人様】
主様は、私にふいっと背を向けてしまわれた。
「主様…っ」その背中に、勇気を出して顔を擦り付けてみる。
恥ずかしくて、恥ずかしくて堪らない。
「こら…」
主様を振り向かせて、強引に唇を奪う。
「ンッ..!」
主様の手を握り、自分の胸板に当てた。
「触って...欲しい...」
そして、主様の指を、胸の先端に当てる。
「主様…」
ピクン、と若干腰をよがらせた。
「君は分かっていない...!俺がどれだけ酷い人間なのかをね...」
はぁっ、はぁと、涙と涎を垂らしながら、主様の目を見据える。
「私...は...主様がどれだけ惨たらしい人間が...誰よりも...分かっております...それでもっ...貴方をお慕いしておりました...」
「私は...貴方の...全てを受け入れてみせます...」
主様の胸に、頭を近付ける。
「何を…されても…」